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FICTION

今後ずっと一生、晴れ渡ってくれていいのにね?

金曜日の夜に飯田橋あたりで飲んで、うとうとしながら電車に揺られて帰ってくる。初春の駅前にはぬる〜い風が吹き抜ける。寒いよりは、まあねえ、良いんだけど。アタシの街は、そりゃ冴えないところもあるけれど、でもめちゃ良い一面もあるんだから。

川上から流れてくる正体不明の水たちにスイカの果汁を混ぜてみる。この両手には収まりきらずに溢れていったスイカの爽やかな果汁も、この水路を流れていくアイツたちの、膨大で異常な量には負けちゃうんだもんね。つらいよね。

めちゃ良い一面。それは、この街は晴れの日が似合ってるってこと。スイカの果汁を萎縮させる川面に注ぐ太陽の光が、街の隅々にまで反射していって、この街をキラキラさせてくれちゃうんだから。そりゃもうすごいよ。一度でいいからさ、アンタもこの街に来てみない? そんときはもう、ガンガンに晴れていてほしいね。いや、もうさ、今後ずっと一生、晴れ渡ってくれていいのにね?

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